個人で行なう散骨について

一般的に散骨は葬儀社や専門の業者に依頼するものですが、現在の日本の法律では個人で行なう事も許されています。個人で散骨をする最大のメリットは費用をゼロにすることが可能という点ですが、反対にデメリットは全てを独力で行わなくてはならないという点に尽きます。刑法に触れないために遺骨を粉状にし、同じ理由で遺灰を撒くために沖合に行く船を確保しなければなりません。言葉では簡単ですが、これを自力でするにはかなりの苦労を強いられます。

特に遺骨を粉骨することに抵抗を覚える方は多いですが、粉骨の代行を生業にしている業者を利用して散骨をするケースがあるほど個人で行なう事は珍しくありません。もちろん個人で行なう際には他人への配慮をわきまえた節度を持たなくてはなりません。節度を持っていれば違法にはなりませんが、節度を持たなかった散骨と見なされて逮捕されたケースがあります。2015年4月の出来事で、68才の男性がスーパーのトイレに妻の遺骨を捨てたという事件がそれです。

結局、男性は遺棄罪と器物損壊罪で罰せられたわけですが、このケースで刑法に触れた部分はスーパーという公的な場所であり他人の私有地に許可なく遺骨を撒こうとした点と遺骨を遺灰にしなかった点に尽きます。かといって海洋であれば何処でも良いわけでもありません。海水浴場や養殖場といった他人も利用する場所で遺灰を撒けばトラブルは目に見えています。可能であれば沖合の海上で行なうことが理想ですが、難しい場合は岩場で撒くことも最適です。