散骨を執り行う場合はその場所の決断が重要となる

現代人にとって葬儀のあり方も多様化の一途をたどっています。とりわけ亡くなった後のお墓をどうするのかといった問題は重要なもので、一族のお墓を購入してしまったが故に子孫はその土地から身動きが取れなくなったり、また仕事などの都合でその土地から離れることで管理がままならなくなることも少なくありません。こういった日本古来からの風習にとらわれることなく、自然から生まれた人間をそのまま亡くなった後に自然に還すといった発想から根付いてきたのが散骨という習わしです。欧米やアジアの一部などでは昔から伝統的に執り行われるケースも多いこの散骨は、故人の遺骨をお墓ではなく規定の場所や自然の中、あるいは思い出の場所などに撒くことで弔うという方法です。

そのためには遺骨を骨の状態ではなくさらに熱した遺灰の状態にするなどの手配が必要な場合もありますが、重要となるのはむしろその散骨場所でしょう。その選択肢としては3つの方法が挙げられます。まずは本人や一族の所有する敷地内に弔うというもの。庭や木の根元などの一角に撒くことでいつも家族を見守ってくれるという意識が芽生えることでしょう。

次に海や川や森といった自然の中へ還すという方法。この場合には決して自然を汚したり、近隣住民や農業や漁業などに迷惑を被るようなことをしてはなりません。3つ目には他人の私有地に許可を得た上で散骨するという方法があります。中には散骨専用に私有地を提供していたり、寺院や教会などの樹木を提供しているケースも多く、専門の葬儀会社でこれらの場所をリストアップして紹介している場合もありますので、選択の際に参考にしてみると良いでしょう。